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配偶者居住権の実際

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前回の記事、配偶者居住権(令和2年4月1日施行)で法改正の趣旨はある程度ご理解いただいたかも知れません。ご自分には関係ないと思われた方もいらっしゃるでしょうし、必要だと考えられた方、これこそが求めていた相続だという方もいらっしゃるでしょう。

しかし、実際にはどうやったら配偶者居住権を使った相続ができるんでしょう。そのあたりを今回はご説明したいと思います。

やりかたには二つあります。一つは遺言書であらかじめ遺言しておくやりかた。もう一つは相続発生後に相続人が協議して居住権を設定して遺産分割する場合です。

1.遺言書による配偶者居住権の遺贈

遺言書に次のような記載をします。

第〇条 遺言者は、遺言者の有する下記の建物の配偶者居住権を、妻A(昭和〇〇年〇〇月〇〇日生)に遺贈する。
             記
所在
家屋番号
種類
構造
床面積

注意点

  1. 普通、遺言書では「相続させる」という文言を多用しますが、配偶者居住権は遺贈により取得させる必要があります(民法1028①一)。
  2. 他の相続人に配慮の必要がある場合、期間を定める文言を加えることもできます。

2.遺産分割協議書による配偶者居住権

遺産分割協議書に次のような記載をします。

第〇条 相続人Aは、次の不動産(以下「本件不動産」という)を取得する。
          記
所在
家屋番号
種類
構造
床面積

2 相続人Bは、本件不動産につき、配偶者居住権を取得する。

3 相続人Aと相続人Bは、本件不動産について、分割時の評価が次の通りであることを合意する。

(1) 本件不動産(配偶者居住権付き所有権)の合計評価額 〇〇万円
(2) 本件不動産についての配偶者居住権(存続期間:終身)の評価額 〇〇万円

注意点

  1. 遺産分割協議書の作成時点までに配偶者居住権の評価額を確定しておく必要があります。
  2. 具体的には次項を参照してください。

配偶者居住権の評価

前回のご説明でも、実際の配偶者居住権の価額評価についてご説明はしていますが、それは法制審議会における事務当局が示したものですから、不動産鑑定士による評価をすることが望ましいと言えます。しかし、最近になり東京家庭裁判所家事第5部より「相続法改正を踏まえた新たな実務運用」が公刊され、暫定的なものであることへの留意が必要ですが、これを踏まえて評価すれば十分だと言えます。

配偶者居住権の価額
 =建物敷地の現在価額(固定資産税評価額) - 配偶者居住権付所有権の価額
配偶者居住権付所有権の価額
 =①負担付き建物所有権の価額 + ②負担付き土地所有権等の価額
①=建物の固定資産税評価額 × {法定耐用年数 - (経過年数+存続年数)} ÷ (法定耐用年数 - 経過年数) × ライプニッツ係数
②=敷地の固定資産税評価額または時価 × ライプニッツ係数

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この記事について

このページは、所長が2020年3月17日 09:42に書いた記事です。

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