改正住民基本台帳法の一部施行

去る令和4年1月11日に改正住民基本台帳法が施行されました。概要は以下の通りです。
この改正に関して既に令和元年に施行されたものもありますし、令和6年に施行されるものもありますが、今回の改正施行はこの部分です。
戸籍の附票の記載事項)
一 戸籍の表示
二 氏名
三 住所
四 住所を定めた年月日
五 出生の年月日(新設)
六 男女の別(新設)

 さらに「戸籍の附票の写しで第十七条第二号から第六号までに掲げる事項のみが表示されたものが必要である旨の申出」があれば交付するとの規定もあります。つまり一号「戸籍の表示」は基本的には載らないことになります。

 このことについては、証明請求者は本籍がわかっているからこそ附票が請求できるわけですから、特に問題があるようにも思われないかもしれませんが、附票の用途によっては影響があります。

 例えば、相続のための遺産分割協議書を作る場合、被相続人と相続人の関係を証明するために現在の戸籍や過去の戸籍を揃えますね。それで協議関係者にとっては十分なのですが、その協議書を使って不動産の相続登記をしようとすると、登記所に対して被相続人と不動産の登記名義人が同一人物であることを証明しなくていはいけません。登記所は同姓同名である可能性に不安を抱きますから。
 しかし、不動産登記簿には住所しか掲載されていません。戸籍には現住所は載っていませんから、本籍が掲載された住民票か戸籍の附票でそれを証明することになります。ここに問題が生じるわけです。

 今までは住民票には戸籍は「載せてください」と言わないと載りませんが、附票には当然のように本籍は記載されていました。戸籍の附票ですからね。しかし、これからは特に記載を要求しないと載りませんので、場合によっては役に立たない証明書をとってしまうことになります。

この件につきまして、早速福岡市のサイトに様式が掲載されましたのでご覧ください。

ここからは、一般の方には関係がないのですが、私共専門職(弁護士や司法書士などの職業)にとっては面倒なことになったわけです。それは今までの職務上請求書の様式には「附票に本籍を載せてくれ」という項目がありません。従って新様式の職務上請求書を使う必要がありますが、それまでは別に「別紙様式」というものを添付して証明書を請求することになりますので、ひと手間増えることになりました。

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